日記:どうしようもなく少女だった
2月14日 夜
あ~、酔えない。「酔いたい」というクズみたいな感情の為だけにお酒を飲むなんて、お酒さんに失礼なのだが、酔いたいんだ。吐くギリギリを攻めてみたい。
さて、無事にメンタル絶好調期を過ぎた我が身は、これから2週間ほどかけてゆっくりと最悪になっていく。これは言わば死へのカウントダウン、マインクラフトでマグマへの穴を一マスづつ掘っているようなものだ。ああ、憂鬱だ。いやだ。これからまたメンタルだめだめ期に入ってしまう。たすけてくれ。
「気の持ちよう」で世界が変わってくれればいいのに。幸い、身体はそこまで不調を訴えないのでまだマシかもしれないが。隣に置いてあったイーブイでも撫でよう。一生眠りから覚めないであろうこの子を。はぁ、触り心地がいい。
こんな気分の日にはぬいぐるみを愛でるのが1番だ。生きていないから、安心してこの身を委ねられる。息をしていないから、ずっと私の側に居てくれる。人間は生きているからこわい。今日もおれの知らない所で何か言われているかもしれない。アイツはやっぱり根性無しのダメ人間だな、とか。
はぁー、先のことは何も考えたくない。今はただ、イーブイを毛並みに沿ってなでなでする事だけでいい。
あぁ、部屋を見渡せばぬいぐるみ、漫画、ポスター、フィギュア、痛バ。そう、正真正銘の2次元オタクだ。
高校生の頃は自身がオタクであることが何よりもコンプレックスだった。自分はオタクでキモい陰キャだからバカにされたのだと。
それを当時通っていた個別指導の塾の講師に話したことがあった。彼はこう返した。
「今はコンプレックスかもしれないけど、これといった趣味もなく毎日死んだ顔で生きている大人は沢山いる。だから熱中できる物がある人の方が絶対いい。」と。
当時はそう言われても納得できなかったが、今ならわかる気がする。
そんな彼の趣味はと言えば、HIPHOPだった。それが私の好きなボカロよりも如何にアングラで日の当たらないジャンルかを熱弁されたりした。授業中に。彼も一種のコアなオタクだった。
そんなあの人の話をもう少ししよう。
古文の授業なのに、急にセクシャルな話をされたときはビビった。エッチなのとかそういうのではなく、この世の中には色んなセクシュアリティを持つ人が居るという話。「だからマイノリティを尊重しろ~」とか、そういう話は一切せず、身体の性と心の性と好きになる人の性は必ずしも一致する訳では無い、という事実を興味深そうに私に話してきた。
それがなんだか可笑しくて。だって、なんで古文の先生が自分の興味ある全然関係ないことについて熱弁してんだよ、って。
あと、SNSが嫌いとかいう反骨精神丸出しの話とかも聞いた。もう(推定)20後半から30くらいの立派な大人なのに。
そんな、どこか反発する若者のような成人男性に自身も興味津々になり、気がつけばそこには恋愛感情が芽生えていた。
そうはいっても、所詮は塾講師と女子高生。一方通行の恋が実るわけもなく、大学に合格し塾を辞める際に渡したLINEのIDとメアドも当然のように音沙汰がない。そんな、たった半年程度の恋だった。
その後なんやかんやで「新宿ネオンチック」とかいう失恋ソングも作ったりして。そう、私は女子高生で未成年。どうしようもなく少女だった。
私の名前、トーキョーライムという活動名は伝えてあったので、もし、もしかしたらこのブログを読んでいるかもしれない、なんて気持ちの悪い思い上がりはやめよう。
思い返したら、高校生活も全てが悪かったというわけではない。彼に恋をしていた数ヶ月は、キラキラしていた。
もし、いつかまた会えたなら、なんて今は考えずに、酒に溺れながらイーブイの頬を突っついて遊んでいよう。